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心配無用!?外壁塗装によるアスベスト被害はない

更新日:2023/03/21

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解説者鈴木良太【外壁塗装110番 代表】
幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。

宇野清隆【株式会社カルテット 代表】
職人暦20年、他の塗装店にも技術などを教えるプロ中のプロ。日本ペイント、アステック、その他の大手塗料メーカーから全国1位の実績と表彰。審査の厳しいホームプロでは、毎年顧客満足優良店に選ばれる。

児玉圭司【株式会社児玉塗装 代表】
名古屋市で地元のお客様に愛されて50年。児玉塗装の3代目。16歳の若さで塗装業入りし、趣味も特技も塗装。圧倒的な知識と技術でお客様からの満足度も高い。

【この記事の要約】

外壁塗装によるアスベスト被害はありません。また、現在の塗料や外壁材・屋根材には、アスベストの使用は禁止されています。

元々アスベストを使った建材があることが問題ではなく、飛び散ったアスベストを吸い込むことで被害が出ます。そのため、通常の生活では問題ないと考えられています。

アスベスト写真

現在の塗料には、アスベストは使われていません。

また、塗料以外にも、窯業系サイディング、リシン吹付け、化粧スレート、押出成形セメント板などの外壁材や屋根材も、2004年10月に法的に一部を除き製造・輸入・使用が禁止になりました。

その後、2006年9月からは例外なくアスベストを含む全ての商品の製造・輸入・使用が禁止となりました。そのため、外壁塗装によるアスベスト被害はありません。

アスベストとは?

アスベストとは、天然鉱物繊維のことで、建築材料に使われていたものは、蛇紋石族のクリソタイル(白石綿)、角閃石族のクロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)の3種類です。

アスベストは耐熱性、耐久性、不燃性、耐薬品性、絶縁性に優れていて、かつ安価な点から建材に使われていました。

1960年代にアスベストとセメントをミックスした石綿スレートが広く普及し、その多くがビル、マンション、戸建てに使われました。1995年度には、アスベスト輸入量の93%が建材に使用されたとのデータもあります。(社団法人 日本石綿協会調べ)

しかし、アスベストには健康被害があることが問題視され、日本では1975年9月に吹き付けアスベストの使用が禁止されました。

その後、2005年6月クボタショック「兵庫県尼崎市のクボタ旧神崎工場の従業員74人がアスベスト関連病で過去に死亡した」このことが発表され、アスベスト問題が大きく取り上げられることになりました。

公表されている健康被害の病名

病名 症状 潜伏期間
中皮腫 胸膜、腹膜、心膜等にできる悪性の腫瘍 20~50年
肺がん 通常の肺がんと同じ症状 15~40年
石綿(アスベスト)肺

肺が弾力性を失い硬くなる肺線維症(じん肺)という病気の一つ

15~20年
良性石綿胸水 胸膜に、胸水とよばれる浸出液がたまる、非腫瘍性の胸膜炎 10年以内もあり
多くは20~40年後

そこまで怖がる必要はない?

クボタショックを聞くと怖いと思うかも知れません。しかし、この事件は工場で働いていた職員や工場周辺の住人に起こった被害でなので、一般の方はそこまで怖がる必要はないかもしれません。

また、アスベストを使った建材があることが問題ではなく、飛び散ったアスベストを吸い込むことが問題です。そのため、通常の生活では問題ないと考えられています。アスベストは粉塵なので、空気清浄機も効果あります。

怖いのは、過去にアスベストを含む建材で建てられた建物が解体されるときに排出されることです。2020年から2040年にピークを迎え、年間100万トン前後が排出されるとされています。

アスベストが含まれている場合のメンテナンス方法

アスベストが含まれている外壁材は、次のような方法でメンテナンスを行います。

塗装

外壁材の表面に塗装を施す方法で、軽度な劣化や色褪せなどが見られる場合に有効です。アスベストが飛散する心配がなく、最も安価にメンテナンスを行うことができます。

ただし、アスベスト自体は残ったままになるため、いずれはアスベストを撤去する必要があります。

外壁塗装にかかる費用は劣化状況や使用する塗料によっても異なりますが、30坪程度の戸建て住宅の場合、60万円~120万程が相場です。

カバー工法(重ね張り)

カバー工法とは、既存の外壁材の上から新しい外壁材を張る方法です。外壁材の劣化が進行していた場合でも、下地に問題がなければカバー工法が可能です。

既存の外壁材を撤去する手間や費用がかからないので、張り替えよりも安く外壁材をリフォームできます。

しかし、塗装と同じくアスベストは残った状態になるため、将来的にはアスベストの除去をしなければなりません。

また、張り替えや家の解体工事を行う際は、古い外壁材と新しい外壁材の両方を撤去する必要があるので、どちらにせよ外壁材の撤去費用はかかってしまいます。

外壁のカバー工法にかかる費用は、外壁材の130万円~200万円程です。費用は使用する外壁材によって変動します。

張り替え

張り替えとは、既存の外壁材を撤去してから、新しい外壁材を取り付ける方法です。下地まで劣化が進行していたり、一度カバー工法を行っている外壁は、張り替えによるメンテナンスを行います。

張り替えの場合は、外壁材自体を撤去するので、アスベストも完全に除去できるというメリットがあります。

ただ、外壁材の撤去費用やアスベスト対策にかかる費用も必要になってくるため、外壁のメンテナンスの中では最も高額な工事となります。

外壁の張り替え費用は、アスベストの除去費用も含めて、230万円~300万円程が相場です。カバー工法と同様に、使用する外壁材によって費用は異なります。

外壁材にアスベストが含まれているか見分ける方法

自分の家の外壁材にアスベストが入っているか調べるには、次のような方法があります。

外壁材の種類から見分ける

アスベストが使用されている可能性のある主な外壁材と、アスベスト含有の建材が製造称した年は以下の通りです。

製造終了より前に作られた外壁材を使用している場合は、アスベストが使用されている可能性があります。

・窯業系サイディング:2004年(平成16年)に製造終了
・金属系サイディング:1990年(平成2年)に製造終了
・押出成形セメント板:2004年(平成16年)に製造終了
・けい酸カルシウム板:2004年(平成16年)に製造終了

正確な建材名が分かる場合は、国土交通省の「石綿(アスベスト)含有建材データベース」で検索することもできます。

家を建てた年代から見分ける

完全にアスベストが使用されなくなったのは、2006年(平成18年)です。そのため、それ以前に建てられた建物の場合は、外壁材にアスベストが含まれている可能性があります。

2007年(平成19年)以降に建てられた建物であれば、アスベスト含有の心配はありません。

アスベスト調査・撤去は専門業者に依頼しましょう

アスベストの調査を行う為には、「アスベスト診断士」「石綿作業主任者」「建築物石綿含有建材調査者」のいずれかの資格が必要となります。

さらに、2023年(令和5年)10月以降は、一定の条件に該当するリフォーム工事を行う際に「建築物石綿含有建材調査者」を有する者による事前調査が義務化されます。

そのため、アスベストの調査・撤去を検討している場合は、上記の資格を持つ専門業者に依頼することが重要です。

アスベストの撤去工事は助成金が使える可能性がある

お住いの地域によっては、助成金・補助金を利用してアスベストの調査や撤去を行える可能性があります。

制度の詳細は、各自治体のホームページに記載されていますので、インターネットで「アスベスト 助成金 ○○市」等と検索してみてください。

また、もし助成金・補助金制度を利用する場合は、その旨をあらかじめ業者に伝えておくようにしましょう。事前に話しておくことで、書類の準備やその後の手続きをスムーズに進めることができます。

まとめ

アスベストと聞くと健康被害を心配される方が多いかと思いますが、アスベストの危険性が高まるのは、撤去によってアスベストが飛散してしまう時のみです。

そのため、調査をする際は資格を持つ業者に依頼し、正しい方法で撤去やメンテナンスを行うことが大切です。

自治体によっては、助成金・補助金制度を実施している場合もありますので、自治体のホームページをチェックしてみるといいでしょう。

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