TOP > 外壁塗装の基礎知識 > 外壁や屋根に使われる素材 > コンクリート壁を塗装する3つの補修方法

コンクリート壁を塗装する3つの補修方法

更新日:2023/03/21

この記事を評価する

閉じる
この記事のアドバイザー情報※各タブをクリックすると詳細が見れます

解説者鈴木良太【外壁塗装110番 代表】
幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。

宇野清隆【株式会社カルテット 代表】
職人暦20年、他の塗装店にも技術などを教えるプロ中のプロ。日本ペイント、アステック、その他の大手塗料メーカーから全国1位の実績と表彰。審査の厳しいホームプロでは、毎年顧客満足優良店に選ばれる。

児玉圭司【株式会社児玉塗装 代表】
名古屋市で地元のお客様に愛されて50年。児玉塗装の3代目。16歳の若さで塗装業入りし、趣味も特技も塗装。圧倒的な知識と技術でお客様からの満足度も高い。

【この記事の要約】

コンクリート壁は、耐久性や防音性に優れており、デザイン性も高い外壁です。また、塗装できないように思われますが、塗装することもできます。

ここでは、コンクリート壁の特徴や劣化症状、主な3つの塗装方法を説明いたします。

コンクリートとは

コンクリートとは、セメントに水や砂、砂利を混ぜ合わせて作られた建材です。

コンクリート壁を作る際は、現場で外壁となる場所に型枠を設置して、そこにコンクリートを流し込んで固めていきます。

モルタルと似ていますが、モルタルはセメント・水・砂で形成されており、砂利は含まれていません。

コンクリート壁のメリット

コンクリート壁のメリットは、次のような点が挙げられます。

耐久性が高い

コンクリート壁は耐久性が高く、耐用年数は50年前後です。

さらに、コンクリート壁の内部に鉄筋を入れる「鉄筋コンクリート(RC)」の場合は、60~100年程の耐久性を持つと言われています。

気密性・防音性が高い

コンクリート壁は、その場でコンクリートを流し込み固めるため、気密性が高い特徴があります。

また、重くて厚みのある外壁を作ることができるので、優れた防音性・遮熱性も発揮します。

耐火性が高い

コンクリートは火に非常に強い性質があるため、火事の際に建物が全焼するリスクが少ないというメリットがあります。さらに、木造住宅に比べて、火が燃え上がるスピードも遅いです。

ただし、全く燃えないというわけではないので、黒く焦げてしまったり、ひび割れが生じることはあります。

デザイン性が高い

コンクリート壁は型枠に流し込んで作るので、曲線のある外壁にすることも可能です。さらに仕上げ方法も数種類あるため、デザイン性に優れた建物を作り上げることができます。

コンクリート壁のデメリット

耐久性やデザイン性が高いコンクリート壁ですが、もちろんデメリットもあります。

ひび割れが発生しやすい

コンクリート壁は伸縮性がないため、地震の揺れによってひび割れするケースが多いです。また、コンクリートの硬化不良や温度変化などが影響して、ひび割れが発生する場合もあります。

夏は暑く、冬は寒くなりやすい

コンクリート壁は熱伝導率が高く、熱が伝わりやすい性質を持っています。

そのため、夏場は外の暑さがコンクリートに伝わって室内温度も上昇しやすく、冬場は外の寒さによりコンクリートが冷え、それに伴って室内の温度も低下してしまいます。

結露が発生しやすい

コンクリートは水を吸い込みやすい性質を持つため、結露が発生しやすいデメリットがあります。

さらに、結露を放置していたり、日当たりが悪く雨が乾きにくい場所では、藻やコケ、カビが繁殖する可能性もあります。

コンクリート壁にみられる劣化症状

コンクリート壁の劣化は進むと、以下のような症状が現れるようになります。

汚れ

コンクリート壁が黒く汚れている場合は、カビの発生や雨染みが原因です。

カビは湿気が多い所を好むため、コンクリートが水分を吸い込んでしまうと繁殖しやすくなります。

そして雨染みは、排気ガスや空気中の汚れが雨に付着して、そのまま汚れと一緒に雨水がコンクリート壁に浸透してしまうことが理由で発生します。

また、白く汚れている場合は、白華が原因です。エフロレッセンスとも呼ばれ、コンクリートに含まれる成分が表面に溶け出して、白っぽくなる現象を指します。

白華によってコンクリートの耐久性が低下することはありませんが、美観は損なわれてしまうでしょう。

ひび割れ

前述の通り、コンクリート壁はひび割れが起こりやすく、原因は地震による揺れや硬化不良などが考えられます。

また、コンクリートを施工する際に混ぜ合わせた水分が乾燥して失われていくと、水分が無くなった分コンクリートが圧縮されて、ひび割れが生じてしまいます。

ヘアークラックと呼ばれる髪の毛程度のひび割れであれば、直ちに耐久性に影響が出るわけではありませんが、それ以上の大きなひび割れは、雨漏りや建材の劣化に繋がる危険性があるため、早めのメンテナンスが必要です。

藻・コケの発生

日当たりの悪い場所や湿気が多い所では、藻やコケが発生しやいです。放置していると発生箇所が拡大したり、水洗いでは落ちないほど汚れてしまいます。

藻やコケは美観が低下するだけでなく、アレルギーやシックハウス症候群などの原因に繋がるため、定期的にお手入れしておくと安心です。

爆裂

爆裂とは、コンクリート内部の鉄筋が錆びて、外に露出してしまう症状のことです。

鉄筋に錆びが発生する原因は、ひび割れから雨水が浸入していることや、コンクリートの中性化によって躯体が脆くなっている状況などが挙げられます。

錆びた鉄筋は徐々に膨張していくため、内側からコンクリートを押し上げて、やがてコンクリートの剥離や落下を引き起こす危険性があります。

コンクリート壁のメンテナンス時期

コンクリート壁は、15年前後を目安に定期的なメンテナンスが必要となります。

耐用年数が長いコンクリートですが、これはメンテナンスをしっかりと行った場合の話ですので、劣化状況も見ながら適切に対処するようにしましょう。

コンクリート壁の塗装方法

コンクリート壁の塗装方法は、主に3種類あります。どのような仕上がりにしたいかを考え、最適な方法を選択しましょう。

撥水剤で塗装する

撥水剤で塗装すると外壁についた水滴を弾いてくれるため、玉状のまま塗膜表面を転がり落ちていき、水染み跡ができにくくなります。また、コンクリートを溶かしてしまう酸性雨からも建物を保護してくれます。

撥水剤の塗装にかかる費用は、㎡あたり1,500~2,000円が相場です。

工程

1.高圧洗浄
2.撥水剤塗布(2回~3回塗り)

作業工程が少ないため、比較的安く施工することができます。

ですが、使用する塗料は透明なクリヤー塗料になるため、コンクリート内部の汚れなどがそのまま塗装表面に反映されます。また、塗膜の耐久年数も5~7年と長くはないので、定期的なメンテナンスが必要です。

代表的な塗料
塗料名 塗料メーカー
ロックガード ロックペイント
水性シリコン浸透ガード 日本ペイント
アクアシール200S 日本ペイント
シランコート

菊水化学工業

アクアトップ 大同塗料株式会社
SKカラークリヤー SK化研
コンクリートガード1000 関西ペイント

クリヤー塗装をする

クリヤー塗装とは、コンクリートに近い色合いの透明な塗料を塗る方法です。コンクリートの風合いを維持したまま建物の耐久性を上げることができます。

ただし、補修跡や色濃くある雨だれ跡など、塗装面の劣化が激しい場合は、隠すことができないので注意が必要です。

耐久年数は、使用するクリヤー塗料のグレード(シリコン系、フッ素系)によって変わります。また、費用も使用する塗料によっても異なり、おおよそ㎡あたり3,500~4,500円が相場となります。

工程 ※塗料によっては、中塗りをしない場合があります

1.高圧洗浄
2.下地処理(ケレン、目荒らしなど)
3.下塗り
4.中塗り
5.上塗り

代表的なクリヤー工法
塗料名 塗料メーカー
ファインプーレシステム 日本ペイント
ミクロンガードRC工法 SK化研
セラタイトRC工法 SK化研
セラミクリートガード工法 SK化研
ボンフロンAC工法 AGCコーテック
アクアプリズム 関西ペイント
キクスイSA工法 菊水化学工業

※これらの工法に使用される塗料は、メーカーが指定した塗料を使用します。

打放しの模様を再現する工法

G-PFシステム工法という特殊な工法を使用することで、打放しコンクリートの丸いくぼみや継ぎ目を塗装工事で再現することができます。さらに、既存のひび割れ箇所や雨だれ跡も完全に隠すことができるため、クリヤー工法と違い、新品同様の見た目になります。

また、この工法では光触媒とフッ素樹脂の塗料を塗るので、耐久年数も15年~20年と非常に優れています。

G-PFシステム工法にかかる費用は、㎡あたり5,000~7,000円が相場です。

工程

1.高圧洗浄
2.下地処理(ケレン、目荒らし、ひび割れ箇所の補修)
3.下塗り
4.中塗り
5.模様描画
6.上塗り

まとめ

コンクリート壁のメリットは、耐久性・耐火性・防音性・デザイン性に優れている点です。また、塗装することも可能で、撥水剤やクリヤー塗料を使用する方法、打ちっ放しコンクリートを再現する工法などがあります。

ただ、ひび割れが発生しやすかったり、夏場は暑く、冬場は寒くなりやすいといったデメリットもあるので注意が必要です。

耐用年数は長いですが、定期的なメンテナンスは必要です。ひび割れたコンクリートの欠損などがみられる場合は、雨漏りのリスクも高まるため、まずは専門業者に調査してもらうようにしましょう。

外壁・屋根材に関するコンテンツ一覧

外壁材

外壁塗装の見積書には、細かい箇所の名前が書いてありますが、それだけ見てもどの部分かわからないと思います。ここでは、イラストと写真でわかりやすく名称の説明をしています。

今は、サイディングが7~8割と圧倒的なシェアを占めています。ここでは、サイディングを中心にモルタルなどの外壁材について説明していきます。

サイディングを塗装するときに一番注意する点は、直張り工法か?通気工法か?という点です。ここでは、直張り工法の注意点を説明しています。

外壁塗装の見積書を見ていると見慣れない項目がたくさん出てきます。ここでは、内訳の説明と相場をまとめて説明していきます。

ALC(軽量気泡コンクリート)は、コンクリートでありながら軽量で、耐久性や断熱性に優れている外壁材です。特徴や劣化症状などについて説明いたします。

1960年~1980年までの戸建て新築で主流だったモルタル外壁。ここでは、モルタル外壁の特徴や模様の種類、塗装場合の費用について説明していきます。

リシンとは、細かい砂や石とアクリル樹脂、セメントなどが主材料で、モルタルなどの外側に用いられる表面化粧材です。ここではリシンの特徴と塗装する際の注意点を説明していきます。

レンガは「本物のレンガ」「レンガ調サイディング」「レンガ調タイル」の3種類あります。それぞれの特徴や劣化症状、メンテナンス方法について説明いたします。

タイルはメンテナンスフリーの外壁材と言われていますが、全くメンテナンスが不要というわけではありません。ここではタイルの特徴やメンテナンス方法、塗装するメリットを説明いたします。

漆喰を塗装する場合は、専用の塗料を使います。ここでは、漆喰の塗替えの注意点を説明しています。

外壁塗装によるアスベスト被害がない理由を説明していきます。

屋根材

コロニアルやスレートといった屋根材の特徴と、8つに分類される屋根の形の説明をしていきます。

ニチハ(株)から発売された屋根材のパミールは、塗装はオススメできない素材です。ここでは、なぜ塗装をオススメをしないのか説明しています。

最近、屋根でよく使われるようになったガルバリウム。ここでは、ガルバリウムを塗替えするときの注意点を説明します。

日本瓦は、基本的に塗装の必要がありません。塗装をする目的は、塗装で形成される塗膜で塗装物を保護することで、塗装物自体の寿命の速度を遅らせるためにおこないます。

トタン屋根を塗装するときの費用、またカバー工法や葺き替えなど新しい屋根に変更する費用などを説明いたします。

現在は生産中止となっており、新築で用いられることはないモニエル瓦。ここでは、モニエル瓦の特徴や補修する場合の費用を説明いたします。

アメリカの屋根材シェア80%以上を誇るアスファルトシングル。日本ではそこまで普及していませんが、メンテナンスの注意点や費用相場を説明いたします。

近年増えてきている陸屋根の住宅。陸屋根をメンテナンスする場合は、塗装ではなく防水工事を行います。防水工事は種類が多いので、各工事の特徴と費用を説明いたします。

その他

ウッドデッキの費用相場は一般家庭に設置している大きさの場合、20,000~80,000円になります。㎡当たり4,000~6,000円です。ここでは、ウッドデッキの特徴と補修費用について説明します。

ピックアップ

外壁塗装業者

外壁塗装の基礎知識

運営団体について

ページトップへ戻る
今すぐ相場を確認する