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更新日:2022/03/31

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解説者鈴木良太【編集者・外壁塗装110番代表】
幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。

アスファルト防水の特徴と作業工程

【この記事の要約】

アスファルト防水には100年以上の歴史があり、主にビルや商業施設などの広い屋上で採用されることが多い工法です。

ですが、戸建て住宅ではあまり行われないため、アスファルト防水について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

このページでは、アスファルト防水の特徴や費用、作業工程などについて説明したします。

アスファルト防水とは

アスファルト防水とは、溶かした防水工事用のアスファルトやアスファルトルーフィングと呼ばれる防水シートを組み合わせて防水層を作り上げる工法です。

広い面積を施工するのに適しており、主にビルやマンション、大型施設などの屋上でよく用いられています。

また、アスファルト防水の仕上げ方法には、防水層をコンクリートで保護する「アスファルト防水押えコンクリート仕上げ」と、砂の付いたシートで仕上げる「アスファルト防水露出仕上げ」の2種類あります。

耐用年数と費用

アスファルト防水の耐用年数は15~20年程度です。

単価は、防水層も含む場合㎡あたり5,000~8,000円が相場です。

工事期間

300㎡程の屋上を施工する場合の工期は、6~10日程度です。

アスファルト防水のメリット・デメリット

アスファルト防水のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット

アスファルト防水のメリットは、信頼性が高い工法ということです。

アスファルト防水には長い期間をかけて技術を発展させてきた歴史があり、実績やデータも豊富であるといった理由から、防水工法の中でも確立されたものだと言えます。

また、他の工法に比べて耐用年数が長いといった特徴もあります。

アスファルト防水は厚みのある防水層を形成するため、水密性や耐久性に優れており、施工後の不具合や水が浸入するリスクを軽減できます。

その他にも、乾燥時間が短い、目的によって仕上げ方法を選ぶことができる点もメリットとして挙げられます。

デメリット

アスファルト防水は、業者の技術力や経験によって仕上がりが左右される工法になります。

なぜなら、アスファルト防水の熱工法やトーチ工法は、アスファルトの温度や溶け具合を管理するのが難しく、技術力や経験が不足している業者では施工不良が起こる可能性があるからです。

また、施工中は近隣の方や周囲の建物に、細心の注意を払う必要があります。

理由としては、熱でアスファルトを溶かす際に煙や臭いが発生したり、最悪の場合、周囲に火が燃え移る危険性もあるためです。

トラブルを避けるためにも事前に周辺の環境を確認し、建物が密集している場合は、熱を使わない常温工法を選ぶなどの配慮が必要です。

アスファルト防水の工法は3種類ある

アスファルト防水の工法は「熱工法」「トーチ工法」「常温工法」の3種類あります。

それぞれの特徴と作業内容は次の通りです。

熱工法

熱工法は、220℃~270℃まで熱した溶融窯でアスファルトを溶かし、その溶かしたアスファルトを使って、アスファルトルーフィングを貼り重ねていく工法です。

現場で熱を冷ましながら防水層を形成していくため、水密性の高い、優れた防水機能を発揮できます。

また、アスファルトは短時間で硬化するので工期も短く済みます。

ただし、溶融窯を現場に設置する必要があるため、広い場所には適した工法になりますが、狭い場所では施工できない場合があります。

さらに、熱を使ってアスファルトを溶かす工法なので、作業中の煙や臭いにも注意しなければなりません。

トーチ工法

トーチ工法とは、あらかじめアスファルトルーフィングの裏面にアスファルトが貼り付けてある「改質アスファルトルーフィング」を使い、バーナーでアスファルトを炙りながらシートを重ねていく工法です。

熱工法と違い、アスファルトを溶かす作業と貼る作業を同時にできるため、効率的に作業を進めることができます。

さらに、溶融窯が必要ないので狭めの場所でも施工が可能になり、煙や臭いの発生、事故が起きる危険も少ないといったメリットがあります。

ただし、バーナーでアスファルトを溶かしながらシートを貼り付けていく作業は非常に難しいため、技術力や経験が不足している業者ではきちんと接着できずに、施工不良を起こしてしまう可能性もあります。

常温工法

常温工法は、熱工法やトーチ工法と異なり、熱を使わない工法です。「冷工法」「自着工法」とも呼ばれています。

改質アスファルトルーフィングの裏面にゴムアスファルト粘着層をコーティングし、粘着性を持たせた改質アスファルトルーフィングを貼り重ねることによって防水層を形成します。

熱や火を使わないので煙や臭いも発生せず、環境にも優しく、作業もしやすいというメリットがあります。

しかし、常温工法はアスファルトを溶かさずに防水層を作り上げなければならないので、隙間を埋めるためにシートを何枚も重ねる必要があり、その重さによって建物や屋上に大きな負荷がかかってしまいます。

そのため、施工する際は建物や屋上の耐久性も考慮したうえで、工事を進めることが大切です。

まとめ

アスファルト防水は、他の工法に比べて耐用年数が長く、歴史のある信頼性の高い工法です。

主に、ビルや大型施設の屋上などの広い面積に施工されることが多いため、戸建て住宅ではあまり採用されない工法になります。

また、アスファルト防水の中でも「熱工法」「トーチ工法」「常温工法」の3種類の工法があり、作業内容やメリット・デメリットも異なるため、それぞれの特徴を理解して選択することが重要です。

防水工事は専門性の高い工事なので業者任せになってしまいがちですが、大切な建物を守るためにも、分からないことや気になる点がある場合はきちんと業者と話し合うようにしましょう。

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