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更新日:2023/03/21

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解説者鈴木良太【外壁塗装110番 代表】
幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。

宇野清隆【株式会社カルテット 代表】
職人暦20年、他の塗装店にも技術などを教えるプロ中のプロ。日本ペイント、アステック、その他の大手塗料メーカーから全国1位の実績と表彰。審査の厳しいホームプロでは、毎年顧客満足優良店に選ばれる。

児玉圭司【株式会社児玉塗装 代表】
名古屋市で地元のお客様に愛されて50年。児玉塗装の3代目。16歳の若さで塗装業入りし、趣味も特技も塗装。圧倒的な知識と技術でお客様からの満足度も高い。

外壁塗装のDIYはお勧めできない4つの理由

【この記事の要約】

DIYとは「Do It Yourself」の頭文字を取ったもので「自分でやる」という意味です。少し前までは日曜大工などと言われていました。内装を塗り替えたり、棚をDIYすることは問題ありませんが、外壁塗装の場合は注意が必要です。

その理由には、以下のことがあります。
・危険(怪我をすることがある)
・長持ちしない
・時間がかかりすぎる
・長い目で見ると高くつく

当サイトに参加している優良業者にもアンケートを取りましたが、誰一人としてDIYをオススメしている方はいませんでした。

優良業者20社へのアンケート結果

上記のグラフは、当サイトに参加している業者にアンケートを取った結果です。ほぼ全ての業者が「お勧めしない」と回答しました。

「場合によってはあり」と答えた業者も「基本的にはお勧めしないが、自分でこういう作業をするのが好きという方ならあり」という回答でした。

以下では、お勧めしない理由を詳細にまとめています。また、DIYした方から聞いた後悔エピソードも掲載しています。

お勧めしない理由

外壁塗装のDIYをお勧めしない理由は、次の通りです。

危険

家の高さは、2階建てで7~9m程になるので、プロの職人でも足場を使って高いところを塗装します。また、足場は個人で借りると30日で20~25万円もします。

そのため、DIYではハシゴや脚立を使う方が多いのですが、しっかりと固定されていないなどの理由から倒れて怪我をすることがあります。さらに、屋根を塗装する際に落下する方もいます。

少し古いデータになりますが、日本塗装工業会が平成17年に発表した「塗装工事における事故の種類別死者数」によると、全体の事故者数777人なのに対して、墜落や転落による事故は553人(全体の71.2%)です。

建設業全体の場合は、墜落・転落事故は全体の35%なので、塗装業がいかに危険かがわかるかと思います。

また、エアコンの室外機やボイラーを養生したまま稼働させると、排気ができずに爆発することもあります。

実際にあった話
「ハシゴから落ちて骨折した…。最初から業者に依頼していればよかった。」
「屋根に乗って塗装していたときに、つまずいて落ちそうになってヒヤっとした。」
「塗装中にハシゴがずれて塗料をこぼしてしまった。」

長持ちしない

ホームセンターで売っているDIY用の塗料は、初心者でも扱いやすいという利点もありますが、プロの業者が使っている塗料に比べると耐久性が劣ります。同じシリコン系の塗料だとしてもDIY用は耐久年数が短いです。

アマゾンや楽天などのネット通販では、業者が使う塗料と同じものを買えますが、初心者だと塗料をメーカーの規定通りの厚みで塗るのは難かったり、塗り残しやムラになります

そのため、塗料が持つ本来の耐久性が発揮できず、期待していたよりも長持ちしないことがあります。

実際にあった話
「自分ではしっかり塗装できていたと思ったのに、塗装後1年で剥がれてきた…」
「ただ塗るだけかと思ったら以外に難しくムラが目立つようになった。」

時間がかかりすぎる

延床面積30坪の住宅で、外壁と屋根塗装を業者に依頼すると「洗浄」→「養生」→「下地処理」→「下塗り」→「中塗り・上塗り」という工程で作業して14~20日かかります。

これを一人で行うと、作業日が何日取れるかにもよりますが45~60日かかります。

実際にあった話
「最初は楽しく塗っていたが、毎週土日だけの作業になるので全然終わらず、業者に依頼しました…。」
「一人でコツコツと作業をしていたので2か月近くかかりました…。」

長い目で見ると高くつく

ホームセンターで買う塗料は、業者が使う塗料よりも安いので、短期的に見れば安く施工できます。しかし、施工後の耐久年数を考えると、DIYの場合は次の塗替え間隔が短いので、小まめに塗装する必要があります。

また、ホームセンターの塗料を使ってしまうと、その上から業者が使う塗料は使えないので、次回の塗替え時に業者に頼むと作業の工数が増え、費用が高くなる可能性があります

実際にあった話
「屋根を自分で塗装したが直ぐに剥がれてきてしまい、塗り直しで業者に依頼したがケレン作業に時間がかかり通常より高くなってしまった。もう2度と自分でやるのは止めようと思いました。」

外壁塗装をDIYするメリットは?

基本的に外壁塗装のDIYは、お勧めしません。ただメリットを挙げるとすれば「達成感がある」「家に対して愛着が沸く」といったことが言えるでしょう。

業者に依頼するよりは完成までに時間がかかりますが、自分で塗装をして綺麗にすることで、よりお家を大切にしようと思うようになるかもしれません。

また、メリットとして費用を抑えられる点もよく挙げられるかと思いますが、前述の通り、最終的にはさらに費用がかかってしまう可能性が高いです。そのため、費用に関してはしっかりとマイナス面も理解しておくことが重要です。

外壁塗装のDIYで使う塗料の選び方

外壁塗装で使われる塗料には様々な種類があるため、それぞれの特徴を知っておくことでDIYの成功にも繋がるでしょう。

ここでは、DIYで使用する塗料の選び方を紹介します。DIYを検討している方は、次の3点をチェックしてみてください。

水性塗料を選ぶ

実際に塗装をする際は、まず塗料を希釈して塗りやすい状態にする必要があります。そこで希釈の時にシンナーを使用するタイプを「油性塗料」、水で希釈するタイプを「水性塗料」と言います。

DIYの場合は、水性塗料がオススメです。

なぜなら、油性塗料とは違い、シンナーを使用しないので強い臭いを抑えられたり、引火する危険性も少なく、保管もしやすいというメリットがあるからです。また、水性塗料はホームセンターでも手に入りやすいです。

油性塗料はシンナーを含むため、施工中の臭いや保管方法などについて注意すべき点が多くなり、素人には扱いにくい塗料になります。

希望する耐用年数や予算に合わせて塗料を選ぶ

塗料には、大きく分けて7つのグレードがありますが、DIYでは次の4種類が主な選択肢になるかと思います。それぞれ耐用年数が異なり、耐用年数が長くなるほど価格も高くなっていきます。

注意点として、DIYによる外壁塗装は専門業者の施工に比べて耐久性が劣ったり、すぐに剥がれるなどの不具合が生じる可能性が高いので、実際に塗装した場合の耐用年数については保証できません。

アクリル塗料

アクリル塗料は塗料グレードの中で最も耐久性が低く、耐用年数は5~7年程です。外壁塗装では、ほとんど使用されません。

「数年で家を取り壊すので、耐用年数が短くても良い」といった方は、アクリル塗料でDIYしてみるのもいいでしょう。

アクリル塗料は非常に耐用年数が短いので、もし安さだけを求めてアクリル塗料を検討している場合は、塗り替え頻度や長期的な費用をしっかりと考慮する必要があります。

ウレタン塗料

ウレタン塗料の耐用年数は8~10年程で、アクリル塗料と同じく、外壁塗装ではあまり使用されません。

耐用年数が短くても、出来るだけ安く済ませたいという方は、ウレタン塗料が適しています。

ただし、アクリル塗料を使用する場合と同様に、耐用年数が短い分、塗り替え回数も多くなるため、結果的にトータルコストが高くなってしまう可能性があります。

シリコン塗料

シリコン塗料は、外壁塗装で使われる塗料の中で、現在主流となっているグレードとなります。耐用年数は10~15年程です。

耐用年数と価格のバランスが良いため、塗料選びで悩まれている場合は、シリコン塗料を選択するのが無難と言えます。

フッ素塗料

フッ素塗料は非常に耐久性が高い塗料で、耐用年数は15~20年程になります。

「費用がかかっても良いから、耐久性のある塗料を使って長持ちさせたい」という方にはオススメです。

適用している素材を確認する

外壁材には、サイディングやモルタル、コンクリートなど様々な種類があり、塗料によっても適用素材が異なります。

そのため、まずは自分の家の外壁材の種類を把握し、その素材に適した塗料なのかを確認することが大切です。もし適用外の素材に塗装をすると、早期の剥がれや膨れなどを引き起こしてしまう可能性があります。

適用素材については、塗料の缶やカタログに掲載されています。

DIYで外壁塗装を行う手順と必要な道具・値段

自分で塗装する際の手順は、以下の通りです。

また、それぞれの工程ごとに専用の道具を用意しなければなりません。塗料のグレードにもよりますが、全て揃えると20~30万円かかります。

1.水洗い

塗装する前に、建物に付いたホコリや旧塗膜などを洗い流すために高圧洗浄で綺麗にします。この作業をしっかり行わないと、どんなに塗料をしっかり塗っても早期の剥がれの原因になります。

家庭用の高圧洗浄機だとケルヒャーで2万円前後です。「高圧洗浄機は高いから買いたくない」という方は、バケツに水を入れブラシでこするしかありませんが、時間がかかります。

・高圧洗浄機:10,000~20,000円
外壁や屋根の塗装面を水で洗い流すための機材。

・ブラシとバケツ:1,000円

2.足場の設置

外壁塗装は高所での作業も多いので、安全性の確保や作業効率をアップさせるためにも足場の設置が必要です。

ただ、プロが使うピケ足場を個人でレンタルすると、30日で25万円前後になり、現実的ではありません。

やはり、DIYをしようと思う方の大半が、業者に依頼するより安くしたいと感じているかと思いますので、実際はしごか脚立での作業になるでしょう。

・はしご:5,000~15,000円
・脚立:5,000~10,000円

3.養生

養生は、窓などの塗料が付くとダメな部分をシートやテープで保護する作業です。

養生が雑だと仕上がりが悪くなったり、周囲に塗料や水が飛散してトラブルに繋がる恐れがあります。

・マスカー:幅300mmx長さ25mmで180円前後、幅1800mmx長さ12.5mmで230円前後
マスキングテープと養生シートが1つになったもの。値段はサイズによりバラバラです。

・テーププライマー:1,000円
コンクリートなどのテープが付着しにくい面にマスキングテープを付着させるプライマー。

・ラスター:150~500円
細かい箇所のホコリなど取り除くときに使う小さい刷毛。

・ガムテープ:100円

4.塗装

塗装ができる状態まで整えたら、塗料を塗っていきます。外壁塗装は基本的に下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りとなります。

・下塗り塗料(シーラー・フィラー):4,000~11,000円前後(15kg)
下塗りには、中塗り上塗りの付着をよくするための接着剤のような役割があり、3回塗りの1回目となります。

ホームセンターで売っている上塗り塗料には、シーラーが必要ないタイプもありますが、耐久性は悪くなります。

・中、上塗り塗料:グレードや商品により価格がバラバラ
下塗り後に、2回目の中塗り、3回目の上塗りをして完成になります。中、上塗り塗料は同じ塗料を使用します。

塗料を塗る時に必要な道具

・ローラーバケットセット:約3,000円
塗料を入れる四角いバケツのようなもの。このバケットに塗料を入れてローラーに付けます。網目状のネットが付いていて、ローラーに付き過ぎた塗料を落とすのに使います。

・刷毛:200~500円
細かいところを塗る道具。

・ローラー:700~1,000円
広い面積を塗る道具。

・サンドペーパー:150円
鉄部のケレンに使うヤスリ。ケレンとは表面に傷を付ける作業で、塗料の密着力を高める目的があります。

・コーキング材:200~700円(300ml)
サイディングの目地部分やや窓枠部分に使われるゴム状の材料。

・バックアップ材、ボンドブレイカー
コーキング材の3面接着を防ぐための道具。溝が深い目地の場合はバックアップ材を使い、溝が浅い場合はボンドブレイカーを使います。

まとめ

外壁塗装のDIYは、事故やケガに繋がる可能性があり、非常に危険です。また、耐久性の低下や早期の剥がれなどの不具合が起きる確率も高いため、オススメできません。

さらに、安く済ませるためにDIYを行ったとしても、再度やり直すことになったり、次の塗り替え時に工数が増えてしまうこともあるので、結果的に費用がかさむというデメリットもあります。

数年で取り壊す建物であればDIYするのも良いかもしれませんが、DIYでは塗料本来の性能を十分に発揮して、耐久性も維持するのは困難ですので、建物を守る為にも外壁塗装を検討している方は専門業者に依頼するようにしましょう。

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