鈴木良太【外壁塗装110番 代表】
幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。
宇野清隆【株式会社カルテット 代表】
職人暦20年、他の塗装店にも技術などを教えるプロ中のプロ。日本ペイント、アステック、その他の大手塗料メーカーから全国1位の実績と表彰。審査の厳しいホームプロでは、毎年顧客満足優良店に選ばれる。
児玉圭司【株式会社児玉塗装 代表】
名古屋市で地元のお客様に愛されて50年。児玉塗装の3代目。16歳の若さで塗装業入りし、趣味も特技も塗装。圧倒的な知識と技術でお客様からの満足度も高い。
機能も名前も似ている遮熱塗料と断熱塗料の違いと特徴
遮熱塗料と断熱塗料は、名前も似ていて、屋内の室温を下げるという点では同じですが、塗料の単価の違いや、冬場の保温効果があるかないかなどの違いがあります。
遮熱塗料は、太陽光の赤外線を高効率で反射して室内の温度上昇を抑える塗料。断熱塗料は、太陽光を建物内部に伝わりにくくする塗料です。
2つの違いを理解して、どのような効果を望むのか間違えないようにしましょう。
【図で解説】断熱塗料と遮熱塗料のメカニズム
断熱塗料と遮熱塗料は、夏場の太陽熱による屋内の室温上昇を抑えるため、冷房費の節減、省エネルギー、CO2削減につながるという点では似ています。
しかし、厳密には太陽熱の対処方法が異なります。
遮熱塗料 | 太陽光の赤外線を高効率で反射して、屋内の温度上昇を抑えることができる塗料 |
断熱塗料 | 主にセラミックを原料とした塗装で、太陽光を建物内部に伝わりにくくすることによって室温の上昇を抑えることができる塗料 |
この機能により、夏場の部屋の温度が2~3℃室温が下がり15%の節電効果があると言われています。ただし、使われている断熱材や太陽光の当たり方などにもよって下がる温度は変わります。
遮熱塗料と断熱塗料の大きな違い
冬場の保温効果があるかないか
この二つの塗料の一番の違いは、冬場など寒い時期に室内で使用した暖房の保温効果があるかないかです。
遮熱塗料は、熱を反射させるので、室内の熱を保温する効果はありません。
断熱塗料は、熱の移動が長いため、室内の熱が逃げにくくなるため保温効果があります。
塗料の単価が違う
遮熱塗料は、一般的なシリコン系に遮熱機能を持たせているサーモアイSiやクールタイトSiなどがあり、通常のシリコンとそこまで変わらない単価(2,600~3,000円/m2)の商品もラインナップされています。
それに比べ、断熱塗料はガイナのみで、単価は3, 500~3,800円/m2と、フッ素や光触媒並みに高いです。
こんな方にお勧めの塗料です!
遮熱塗料
・金属屋根(トタンやガルバニウム)
金属の屋根は熱くなりやすいので、他の屋根材よりも効果が出やすいです。
・天井が吹き抜けている
部屋全体の容積が多く、熱い空気がこもりやすいため、効果が出やすいです。
・リビングや寝室が2階や3階にある家
これは普段生活する部屋が屋根から近い方が効果を体感しやすいためです。
・夏場の室温を体感温度で2~3℃でも下げたい方
もっとオーバーに書いてある資料もありますが、体感温度で2~3℃下がると言われています。
断熱塗料
・金属屋根(トタンやガルバニウム)
金属の屋根は熱くなりやすいので、他の屋根材よりも効果が出やすいです。
・天井が吹き抜けている
部屋全体の容積が多く、熱い空気がこもりやすいため、効果が出やすいです。
・リビングや寝室が2階や3階にある家
これは普段生活する部屋が屋根から近い方が効果を体感しやすいためです。
・夏場の室温を体感温度で2~3℃でも下げたい方
もっとオーバーに書いてある資料もありますが、体感温度で2~3℃下がると言われています。
・夏場だけではなく冬の保温効果もほしい方
断熱塗料は熱の伝わりを遅くする塗料なので、夏場の温度を下げるだけではなく、冬場に暖房器具で暖めた室温を外に逃げにくくする保温する効果もあります。
遮熱・断熱塗料を使うデメリット
遮熱・断熱塗料は機能性が高く、メリットも大きい塗料ではありますが、デメリットもいくつかあります。
遮熱塗料のデメリット
冬場の保温効果はない
遮熱塗料と断熱塗料の違いでも説明したとおり、遮熱塗料は熱を反射させる効果はありますが、室内の温かさを保つ効果はありません。
さらに、冬場でも熱を反射するため、室内に太陽光の温かさが届かずに、室温が低下してしまう可能性も考えられます。
遮熱塗料は暑さが厳しい地域には適していますが、冬場の寒さが厳しい地域では、このようなデメリットもあることを理解しておかなければなりません。
塗膜が汚れると遮熱効果が薄れる
遮熱塗料は、塗膜の表面が綺麗でなければ、塗料本来の熱を反射させる効果が十分に発揮できません。そのため、年月の流れとともに塗膜が汚れていくと、遮熱効果も薄れていきます。
耐用年数を迎えるまでしっかりと遮熱効果を維持させたい場合は、定期的に洗浄するなどのメンテナンスが必要です。
色によって効果に差が出る
遮熱塗料は色によって、効果に差が出ます。白やクリーム色などは遮熱効果が高く、黒や茶色などは効果が低くなります。できる限り遮熱効果を発揮させたいという方は、黒に近い色ではなく、白に近い明るい色を選ぶといいでしょう。
断熱塗料のデメリット
遮熱塗料と比べると費用が高額になる
前述したように、断熱塗料は機能性に優れている分、遮熱塗料よりも費用が高く、フッ素塗料と同程度の価格帯となります。
夏場の室内温度の上昇を防いだり、冬場の保温効果を感じられるかは、実際に塗装をしてみないとわからないかと思います。そのうえで高額な費用を出すのは、お客様にとっては多少のリスクがあると言えるでしょう。
選べる塗料の色が限られている
遮熱塗料と同じく、断熱塗料の場合も選べる色が限られ、より効果を発揮できるのが白に近い色となります。製品によっては、艶ありを選べなかったり、そもそも濃い色が選べないものもあります。
代表的な塗料
遮熱塗料
遮熱塗料は、2008年に経済産業省が反射率を評価する方法を統一し、日本工業規格 JISを制定しました。そこから人気に拍車がかかり2013年現在、日本国内だけでも複数の塗料メーカーが商品化し販売をしています。
特に、株式会社アステックペイントジャパンの塗料は有名です。
アステックペイントは、世界で最も紫外線の強いといわれているオーストラリアで外装用塗料のシェアNo1の塗料です。日本を含む10カ国以上で使われています。
以下はアステックペイントの説明動画です。
以下は、各メーカーの代表的な遮熱塗料です。塗料メーカーごとに、遮熱塗料の原材料が違っていてアプローチに個性が見られます。
・日本ペイント:サーモアイSi、サーモアイF
・関西ペイント:アレスクールSi、アレスクールF
・エスケー化研:クールタイトSi、クールタイトF
・日本中央研究所株式会社:アドグリーンコート
・アステック:EC-5000PCM(IR)、無機ハイブリッドコートJY-IR、シャネツグロスJY ※旧タイプ
断熱塗料
断熱塗料で最も代表的な塗料は、株式会社 日進産業のガイナです。
ガイナは特殊なセラミックビーズが入った塗料で、赤外線を反射し日差しの影響をを防ぐことで塗装面に熱の影響を受けにくくします。これにより室温が下がります。実際にガイナを使用した人の感想や業者からの評判はこちら
以下の動画はガイナの機能を説明している動画です。
その他、各メーカーから発売されている遮熱塗料は、次のような製品があります。
・シンマテリアルワン:キルコ
・東日本塗料:断熱コートEX
・プレマテックス:断熱コートEX プレマエディション、シャダンネオ
まとめ
遮熱塗料は熱を反射し、断熱塗料は熱を伝わりにくくする性質があり、夏場の室内温度の上昇を和らげる効果が期待できます。特に、金属屋根を使用している住宅や天井が吹き抜けになっている場合などは効果を実感しやすいため、遮熱・断熱塗料が向いています。
ただし、冬場の室内の温かさを保ることができるのは、断熱塗料だけなので、住んでいる地域も考慮しながら塗料を選ぶ必要があります。
夏場の暑さを少しでも軽減したいという方は、業者に相談してみるといいでしょう。