鈴木良太【外壁塗装110番 代表】
幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。
宇野清隆【株式会社カルテット 代表】
職人暦20年、他の塗装店にも技術などを教えるプロ中のプロ。日本ペイント、アステック、その他の大手塗料メーカーから全国1位の実績と表彰。審査の厳しいホームプロでは、毎年顧客満足優良店に選ばれる。
児玉圭司【株式会社児玉塗装 代表】
名古屋市で地元のお客様に愛されて50年。児玉塗装の3代目。16歳の若さで塗装業入りし、趣味も特技も塗装。圧倒的な知識と技術でお客様からの満足度も高い。
シリコン塗料の特徴と単価、注意点
「よくシリコンで●●円パックって見るけど、本当にお得なの?」
「業者が、『ラジカル塗料よりシリコンの方が実績があるので安心』って言ってたけど本当?」
当サイトには、このような相談をよくいただきます。現在、塗装する方の7割がシリコン塗料を使うと言われているくらい人気のグレードです。
しかし、シリコンの中でも、良いものと悪いものがあり、間違って悪いもので塗装を行うと、耐久年数が7年前後と短く劣化も早いので注意が必要です。
また、シリコン塗料は実績や種類が豊富で優れた塗料ですが、デメリットや注意点があります。特に、保証年数が10年以上ある場合は、注意が必要です。
そこで、外壁・屋根塗装で失敗しないためにも、このページを読めばシリコン塗料の情報が全て理解できるようになっています。
戸建て住宅の塗替えの約7割を占めるシリコン塗料。値段と耐久性のバランスが良く、塗装業者からの信頼も高い塗料です。ただし、シリコンの中にも耐久性の低い単層弾性塗料がある点、10年保証を付ける業者がいる点、この2点には注意が必要です。
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目次
- シリコン塗料とは?戸建ての7割で使われる人気グレード
-付帯分部もシリコン塗料が主流
-主流はシリコン塗料からラジカル塗料に移行しつつある - 同じメーカーのシリコン塗料でもタイプは様々
-油性と水性
-1液型と2液型 - シリコン塗料の特徴(メリット)
-【メリット1】価格と耐久年数のバランスが良い
-【メリット2】豊富な種類がある
-【メリット3】実績がある
-【メリット4】汚れにくい
-【メリット5】光沢保持率が高い - シリコン塗料の特徴(デメリット)
-【デメリット1】ヒビ割れしやすい
-【デメリット2】重ね塗りする際は注意が必要
-【デメリット3】DIYには不向き - シリコン塗料はこんな人にオススメ
-10年前後の周期で塗り替えを検討している
-安く光沢がある仕上がりにしたい - シリコン塗料を選ぶ際の注意点
-同じシリコン系のグレードでも耐久性は全然違うので注意!
-シリコン塗料の保証の長さに注意! - 代表的なシリコン塗料
- 塗料グレードによる単価、耐久性 徹底比較
- まとめ
シリコン塗料とは?戸建ての7割で使われる人気グレード
シリコン塗料とは、シリコン系の合成樹脂が主成分の塗料です。正式名称はアクリルシリコンですが、省略してシリコン塗料と言われます。
アクリルシリコンだから、耐久年数の低いアクリル塗料ではありません。アクリルシリコンと呼ばれるのは、アクリルがベースで、その中にシリコンが入った塗料だからです。
最近では、様々なグレードの塗料が出てきていますが、一番使われているのはシリコン系の塗料です。塗装業者に塗料などを販売する材料屋の話では、戸建ての塗替えの約7割りがシリコン塗料が使われていると言っていました。
付帯分部もシリコン塗料が主流
一昔前の付帯部分の塗装は、ウレタンが主流でしたが、現在は塗料の性能が向上し、シリコン塗料で塗装することができるようになりました。
シリコンを使ったとしても付帯部分は外壁に比べ早く劣化はしますが、ウレタンを使うよりは長持ちするので、次回の塗り替えが必要なタイミングも大体同じにすることができます。
主流はシリコン塗料からラジカル塗料に移行しつつある
塗料の主流が、シリコン塗料からラジカル塗料に移行しつつあります。
シリコン塗料とラジカル塗料を比べた場合、ラジカル塗料の方が少しだけ価格が高いのですが、耐久性が3~5年ほど長いため、新たな標準グレードに変わりつつあります。
同じメーカーのシリコン塗料でもタイプは様々
油性と水性
油性と水性を比べた場合、油性の方が価格が高く臭いもありますが、耐久性は高くなります。ただし、近年は、油性と水性のどちらも性能が上がっていて、2つの差は少なくなっていきています。
1液型と2液型
1液型は、塗料缶を開けてそのまま塗れるもので、2液型は、使用前に硬化剤を混ぜて使います。2液型は1液型と比べて、耐久性が高い、塗れる材質が幅広い、価格が高いという特徴があります。
シリコン塗料の特徴(メリット)
【メリット1】価格と耐久年数のバランスが良い
施工単価が2,300~3,000円/m2で、耐久年数が12~15年とバランスが良いです。
【メリット2】豊富な種類がある
遮熱機能のあるものや、汚れにくい高耐候性の高いもの、艶もカラーバリエーションも豊富にあります。また、商品により異なりますが他のグレードより、ツヤなし、3分ツヤ、5分ツヤ、7分ツヤ、ツヤありの5種類揃っている塗料が多いです。
【メリット3】実績がある
発売から十数年経ち、実際の住宅に塗った環境で耐久性などの実績があります。塗料メーカーが発表する耐久年数は、室内のテスト装置で出した値で実際の環境ではありません。そのため、期待されていた新グレードの商品が思ったより長持ちしないかったという事例もあります。
昔からこのようなことがあるので、塗装業者の中でも実績があるシリコン塗料を支持する方が多く、高いシェアに繋がっています。
【メリット4】汚れにくい
撥水性が高く、低電圧性で塗膜が固いため雨水を弾き、汚れにくいです。ただし、今ではフッ素や光触媒、無機塗料の方が撥水性や親水性が高いため汚れにくいです。
【メリット5】光沢保持率が高い
ツヤありタイプは、光沢保持率が高く、キレイでツヤのある塗膜を長期間維持する事ができます。ただし、今ではフッ素や無機塗料の方が光沢保有率が高いです。
シリコン塗料の特徴(デメリット)
【デメリット1】ヒビ割れしやすい
塗装してから10年程度で塗膜が固くなる傾向があります。そのため、建物が揺れた場合にヒビ割れがしやすいです。ヒビ割れしやすい環境の場合は、弾性系のシリコンを使うことをオススメします。
【デメリット2】重ね塗りする際は注意が必要
塗膜が固く撥水性があるため、重ねて塗る場合の付着力が弱いです。そのため、下塗りを適切に行わなければなりません。
【デメリット3】DIYには不向き
顔料が沈殿しにいため、施工中に頻繁に撹拌する必要があり、付着性も低いため、扱いが簡単ではありません。そのため、DIYには不向きです。
シリコン塗料はこのような人にオススメ
10年前後の周期で塗り替えを検討している
10年前後の周期で塗り替えを検討している場合、価格と耐久性のバランスが最も良いです。
安く光沢がある仕上がりにしたい
シリコン塗料のツヤありタイプは、ツヤを長期間維持し、色あせしにくいので、光沢がある仕上がりに向いています。フッ素や無機塗料の方がツヤが長持ちしますが、そこまで予算がない…という場合はシリコンがオススメです。
シリコン塗料を選ぶ際の注意点
同じシリコン系のグレードでも耐久性は全然違うので注意!
一部の業者では「主流のシリコン塗料だから耐久年数が長くてお勧めです!」と営業しているにも関わらず、耐久性の低い単層弾性の安いシリコンで塗装している業者もいます。また、シリコンパック●●万円などの場合は、安いシリコンが使われている可能性もあるので注意が必要です。
一般的なシリコンの耐久性が10~15年だとすると、単層弾性のシリコンは7年前後です。業者に提案された塗料が以下のものの場合は、耐久性が低いものなので注意しましょう。
・DANシリコンセラ 日本ペイント
・セラミクリーン エスケー化研
シリコン塗料の保証の長さに注意!
シリコン塗料では、塗料メーカーによる保証は付きませんが、塗装業者独自の保証が付くことがほとんどです。その場合は、どんなに長く場合でも外壁保証が5~7年、屋根保証が3~5年が一般的です。
業者によっては、シリコン塗料で外壁10年保証を付けている場合がありますが、この場合は注意が必要です。塗装業者の独自保証は、長ければ長いほど良いというわけではありません。
メーカー発表の耐久年数は10~15年ですが、これはあくまでも期待できる耐久年数です。必ずこの年数まで耐久するわけではありません。そのため、10年間色あせなどの劣化をしないことは、ほぼありません。
シリコン塗料で10年保証を付ける業者は
■色あせなどの自然劣化は保証外
ちゃんと説明している場合は問題ありませんが、10年以内の劣化は何でも保障します!というような場合には注意が必要です。
■計画倒産する
会社の設立が10年未満で、10年保証などを付ける業者もいますが、この場合は注意が必要です。瑕疵保険などに加入していない場合は、どんに長い保証を付けてもらっても、保証を付けた業者がつぶれてしまっては保証書はただの紙切れになります。
もちろん、しっかりと10年保証の対象範囲を説明している業者は大丈夫ですが、保証の範囲を曖昧にして、ただただ10年保証です!というような業者は注意です。
どうしても10年保証を希望する場合は、フッ素や無機などのグレードが高い塗料をお勧めします。
代表的なシリコン塗料
外壁用塗料
塗料名 | メーカー |
平米単価 ※3回塗りの合計 |
ファインシリコンフレッシュ | 日本ペイント | 2,600~3,200円/m2 |
クリーンマイルドシリコン | エスケー化研 | 2,500~3,000円/m2 |
セラMシリコンシリーズ | 関西ペイント | 2,300~3,000円/m2 |
ハナコレクションシリーズ | 日本ペイント | 2,000~2,600円/m2 |
オーデフレッシュSi100Ⅲ | 日本ペイント | 2,800~3,300円/m2 |
グラナートSP(多彩模様塗料) | アステックペイント | 4,000~5,600円/m2 |
ナノコンポジットW | 水谷ペイント | 2,500~3,000円/m2 |
シリコンREVO1000(-IR) | アステックペイント | 2,100~2,800円/m2 |
超低汚染リファイン1000Si-IR | アステックペイント | 2,400~3,000円/m2 |
ベルアートSi | エスケー化研 | 3,200~4,000円/m2 |
屋根用塗料
塗料名 | メーカー |
平米単価 ※3回塗りの合計 |
サーモアイSi | 日本ペイント | 2,600~3,000円/m2 |
クールタイトSi | エスケー化研 | 2,400~2,800円/m2 |
快適サーモSi | 水谷ペイント | 2,200~2,800円/m2 |
ヤネフレッシュSi | エスケー化研 | 2,500~3,000円/m2 |
アレスクール水性Si・2液Si | 関西ペイント | 2,200~2,600円/m2 |
超低汚染リファイン500Si-IR | アステックペイント | 2,400~3,000円/m2 |
塗料グレードによる単価、耐久性 徹底比較
グレード | 耐久性 |
単価(m2) ※3回塗りの合計 |
アクリル | 5~7年 | 1,400~1,600円 |
ウレタン | 8~10年 | 1,700~2,200円 |
シリコン | 10~15年 | 2,300~3,000円 |
ラジカル制御型 | 12~15年 | 2,500~3,000円 |
フッ素 | 15~20年 | 3,800~4,800円 |
光触媒 | 15~20年 | 4,200~5,000円 |
無機 | 20~25年 | 4,500~5,500円 |
最後に、シリコン塗料のおさらいです。
・アクリルシリコンはシリコン塗料。アクリル塗料ではない。
・戸建て塗替えの7割がシリコン塗料を使っている。しかし、主流はラジカル塗料に移行しつつある。
・単層弾性のシリコン塗料は、一般的なシリコン塗料とは違い耐久年数が7年前後と短い。新築や格安パックで使われる可能性あり。業者からもらった見積書の塗料名に「DANシリコンセラ(日本ペイント)」「セラミクリーン(エスケー化研)」と書かれている場合は単層弾性シリコンなので注意。
・シリコン塗料の10年保証は注意が必要。10年保証を付けたい場合は、ラジカル、フッ素、無機などがオススメ。