アスファルトシングルをメンテナンス(塗装、カバー、葺き替え)の費用相場
鈴木良太【外壁塗装110番 代表】
幼少の頃、二世帯住宅に住んでいた祖母が悪徳業者に騙されたのをきっかけに外壁塗装110番を立ち上げました。累計20,000件を超えるお客様からの相談や、一級塗装技能士の資格を持つプロの職人に話を聞き、より正確な情報を掲載できるよう心掛けています。
宇野清隆【株式会社カルテット 代表】
職人暦20年、他の塗装店にも技術などを教えるプロ中のプロ。日本ペイント、アステック、その他の大手塗料メーカーから全国1位の実績と表彰。審査の厳しいホームプロでは、毎年顧客満足優良店に選ばれる。
児玉圭司【株式会社児玉塗装 代表】
名古屋市で地元のお客様に愛されて50年。児玉塗装の3代目。16歳の若さで塗装業入りし、趣味も特技も塗装。圧倒的な知識と技術でお客様からの満足度も高い。
100年以上前にアメリカで開発された屋根材のアスファルトシングル。アメリカでは屋根材の80%以上のシェアを誇りますが、日本ではそれほど多く普及していません。
アスファルトシングルの補修費用は、おおよそですが以下の通りです。
・塗装:30~50万円
・カバー工法:70万円~150万
・葺き替え:50~120万円
塗装する際の注意点は、水性塗料しか使えない、縁切りするためのタスペーサーは使えない。という点です。
アスファルトシングルとは、ガラス繊維の基材にアスファルトをコーティングし、表面が傷つかないよう石粒を施したシート状の屋根材です。「シングル」とも呼ばれており、釘と接着剤を使用して施工を行います。
日本ではあまり知られていませんが、100年以上前に北米で開発され、アメリカでは80%以上のシェアを誇ります。
近年では、日本でも徐々に注目を集めており、一般住宅のほかにマンションや公共施設などにも使用されています。
アスファルトシングルの良い点
柔らかく加工しやすい
アスファルトシングルはとても柔らかく、カッターやハサミでも切ることができます。加工も簡単にできるので、複雑な屋根の形状にも施工することが可能です。
瓦屋根のなどの硬い屋根材のように、ひび割れが発生する心配もありません。
軽量で耐震性に優れている
軽量なので建物への負担も少ないです。重さは㎡あたり9~12kgで、一般的なスレート屋根の半分の重さになります。屋根が軽くなることで耐震性の向上にもつながります。
防水性、耐久性が高い
アスファルトシングルは優れた防水性を持ち、耐用年数は20年前後になります。
防水保証は10年の製品が多いですが、10年経つと使用できないということではありません。近年では品質も向上しており、保証期間が25年や30年の商品も発売されています。
防音性が高い
表面に施されている天然石が緩衝材の役割を果たすので、気になる雨音が抑えられます。また、ザラザラした表面なので雪止め効果もあります。
アスファルトシングルの悪い点
耐風性がない
施工不良や接着剤の劣化が原因で、シートが剥がれることがあります。瓦のように落下する危険性はありませんが、台風や強風のあとは点検を行うと安心です。
また、施工直後や強風によって石粒が剥がれ落ち、雨樋をつまらせたり、庭やバルコニーに落ちることがあります。
施工経験のある業者が少ない
アスファルトシングルは日本であまり普及していないので、施工経験のある業者が少ないのが現状です。技術が求められる施工になるので、業者選びを慎重に行う必要があります。
耐火性に劣る
アスファルトは燃焼しやすく、防火地域・準防火地域では使用ができません。そのため不燃化された商品もありましたが、一般的にはあまり普及しませんでした。
しかし、近年では建築基準法の改正により、ガラス繊維で補強されたグラスファイバーシングルであれば、防火地域・準防火地域でも使用が認められるようになりました。
アスファルトシングルに見られる劣化
塗膜の剥離
塗膜の剥離は、経年劣化や施工不良によって発生します。施工不良の原因は、下地調整の不足や、塗料の乾燥が十分でないことが考えられます。塗膜が剥離している状態は、アスファルトシングルの劣化を早めますので、早めにメンテナンスを行いましょう。
変色、退色
色が変わってしまうことを変色、艶が落ちることを退色といいます。変色、退色は紫外線によって発生し、劣化の初期段階に見られます。
チョーキング
チョーキングとは塗膜が劣化して、粉状になってしまう現象です。チョーキングをそのまま放置しておくと、アスファルトシングルの劣化が進むので塗り替えが必要です。
カビ、コケ
カビやコケは、アスファルトシングルが水分を溜め込むことによって発生します。北面の陽当たりが悪い箇所や湿度の高い箇所は、水分が溜まりやすくカビやコケが発生しやすいです。
アスファルトシングルの塗装工程
アスファルトシングルの塗装工程は「高圧洗浄」→「下塗り」→「上塗り2回」となります。
下地処理は、塗装の仕上がりを左右する大事な工程です。高圧洗浄やケレン作業で、古い塗膜をしっかりと落としていきます。
また、塗料は水性塗料しか使用できません。油性塗料を使用すると、アスファルトの成分が溶けてしまいます。
アスファルトシングルの縁切りにタスペーサーは使えない!
アスファルトシングルを塗装する際は、ヘラやカッターで塗膜を切って、屋根の継ぎ目に隙間を作ります。この作業を縁切りと呼びます。縁切りを行わないと雨水が排水されず、雨漏りや屋根材の腐食の原因になります。
一般的には、タスペーサーを挿入する工法もありますが、アスファルトシングルに対応しているものがないので、ヘラやカッターで塗膜を切る工法で行います。
アスファルトシングルをリフォームするときの費用相場
屋根のメンテナンスは塗装のほかに、葺き替えとカバー工法があります。 既存の屋根材を撤去し、新しく取り替える工法を葺き替え、既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねることをカバー工法といいます。
それぞれの費用を説明します。
屋根塗装をするときの費用相場
アスファルトシングルの塗装にかかる費用は、一般的な屋根塗装と変わりません。一般的な戸建ての場合、30万円~50万円程度が相場です。
アスファルトシングルの塗装と葺き替えの比較
屋根材だけではなく、屋根の下地まで劣化している場合は葺き替えが必要です。既存の屋根材を撤去するため、工期や費用がかかります。
塗装の相場は一般的な戸建ての場合、30万円~50万円ですが、葺き替えの相場は、70万円~150万となります。
アスファルトシングルの塗装とカバー工法の比較
屋根の下地まで劣化が進んでいない場合は、カバー工法が可能です。カバー工法の相場は一般的な戸建ての場合、50万円~120万となります。
既存の屋根材を撤去する必要がないため、葺き替えと比べて工期や費用を抑えることができます。